誕生日を覚えていて、週末の予定を立て、頼まれなくても支払いを引き受け、相手が言う前に先回りして動く。それがあなたなりの「好き」の伝え方で、しばらくは、それが気持ちよくもありました。ところがある夜、心の中に静かな一文が浮かびます。「こんなにしたのに」。尽くしすぎ 恋愛、あるいは尽くしすぎる 疲れる、と検索したことがある方は、その感覚に覚えがあるのではないでしょうか。この記事では、メンヘラ診断の「尽くし込み」タイプを手がかりに、誰にも見えない帳簿の正体、尽くすことが頼ることを避ける方法になってしまう理由、そして試せる小さな工夫について、お話しします。
尽くしすぎる恋愛は、どんな形で出るか
尽くしすぎるのは、性別や収入、性格の話ではなく、誰にでも起こることです。たいていは、たくさんの親切で気のきいた行動として現れます。予定づくりを自分が多めに引き受ける。無理のない範囲を超えて出費する。気の進まない誘いに「いいよ」と答える。相手が困らないように何でも覚えておく。そして、気まずい空気が表に出る前に、先回りしてなだめてしまう。
外から見れば、素敵なことです。ところが内側では、静かに消耗していることがあります。与える方向が一方通行で、尽くす側は、自分が何を足りないと感じているかを、なかなか口にしないからです。診断の「尽くし込み」タイプは、「好き」を行動で伝える人、頑張れば頑張るほど、返ってくるものが目に入ってしまい、静かに疲れていく人として描かれています。大事なのは、「静かに」というところです。
心の中の帳簿:「こんなにしたのに」
最初から損得を数えようとしているわけではない人がほとんどでしょう。ただ、帳簿は、いつのまにか勝手にできています。ごはんを作って、お礼がなかったことに気づく。記念日を覚えていて、同じようには返してもらえなかったことに気づく。小さなメモが、ほかの誰にも読めない欄にたまっていきます。そして疲れた日に、その欄が開いて、あの一文が出てきます。「こんなにやってあげたのに、これなの?」
見えない帳簿の困ったところは、相手が条件を一度も見ていないことです。プレゼントに期待が添えられていたことも、親切が「記入」だったことも、相手は知りません。請求書が届いたとき、相手にとっては、サインしていない契約についての不意打ちに感じられますし、あなたにとっては、ずっと評価されていなかった証拠に感じられます。どちらもつらく、しかもどちらも、相手に対して少しずつ公平ではありません。
帳簿に気づくのは、失敗ではありません。情報です。「まだ言葉になっていない望みがある」と教えてくれています。
尽くすことは、頼ることを避ける方法になりうる
ちょっと居心地の悪い、でもよく役に立つ見方があります。それは、「尽くすほうが、頼むより安全」ということです。与える側にいるかぎり、主導権は自分にあります。贈り物は、お願いのようには断られません。頼むということは、「これがほしい」と言って、「いやだ」「ちょっと待って」「いまは無理」と返される危険を引き受けることです。「重いと思われたくない」と静かに心配している人にとって、その危険は、どんな努力よりも大きく感じられることがあります。
だから尽くすことが増え、そこに隠れたメッセージが乗ります。「もっと一緒にいたい」と言う代わりに、素敵な週末を計画して、察してくれるのを期待する。「疲れているから手伝ってほしい」と言う代わりに、自分でやって、気づいてくれるのを待つ。これは操作ではありません。いちばん危険が少なく思える道で、必要を満たそうとしているだけです。ただ、ほのめかしは見逃されやすく、誤解されやすいので、あまりうまくいきません。
もうひとつ、関連する見方があります。それは、尽くすことが「安全を買う」手段になっている場合があるということです。役に立つ人でいれば、欠かせない存在でいれば、離れていかない。ごく人間らしい願いですが、愛にとても高い値段がつくことにもなります。贈り物のたびに、その保証の代金を払い続けなければならないからです。不安がもっと鋭くなったときの様子は、メンヘラと不安型愛着の違いで詳しく書いています。愛着スタイルは診断ではなく、人は状況によって行き来するものです。
「思いやり」と「不安から安全を買うこと」を見分ける
写真に撮ったら、どちらも同じに見えます。違いは内側にあります。以下の問いは、テストではなく、鏡のつもりで使ってください。
- この贈り物がまったく気づかれなくても、自分は平気か。それとも不安やさびしさがはねるか。
- 今週はやめておいたら、何が起きると想像するか。軽いことか、相手が離れる、怒る、といったことか。
- 疲れきっているときにも与えているか。それとも余裕があるときだけか。
- お礼、お返し、安心させる言葉など、決まった反応を期待していないか。
- 相手からのお願いを断っても、あとで埋め合わせをしなければ、と感じずにいられるか。
思いやりは、あとに軽さを残します。不安から与えているときは、相手の反応をうかがってしまいます。あなたもその中間のどこかにいて、同じ行動でも、日によってどちらにもなります。目標は、与える量を減らすことではありません。もらうこともできる場所から与えることです。
試せる三つの小さな工夫
「あげるリスト」と「もらいたいリスト」を分けて書く
紙かスマホのメモに、二つのリストを作ります。ひとつには、自分が与えていること、つまり計画すること、払うこと、覚えていること、丸く収めていることを書きます。もうひとつには、もらえたらうれしいことを、具体的で小さな言葉で書きます。「昼間に一通メッセージがほしい」「お店は誰かに決めてほしい」「自分がもてなさなくていい夜がほしい」。試してみると、二つ目のほうが短かったり、書きにくかったりするかもしれません。もしそうなら、その差自体が、大事な手がかりです。リストを相手に渡すことが目的ではありません。自分にも望みがあることに気づいて、それを与えることとは別の場所に置いてあげることが目的です。
小さなお願いを、週に一つ声に出す
笑ってしまうほど小さなお願いから始めます。「今夜、夕ごはんを買ってきてくれる?」「映画は選んでもらえたらうれしいな」「予定を入れない一時間を過ごしてもいい?」。小さなお願いは、「いや」「今夜は無理」と言われても、関係が壊れないことを体験する練習になります。頼むことを閉じ込めているのは、その恐れだからです。言い出しにくいときは、「いますぐ答えなくていいんだけど、頼んでみたいことがあって」と添えると、お互いの負担が軽くなります。
一日だけ、「余計なこと」をしない日を試す
一日だけ、普段なら自分のためにすることだけをします。出かける計画は立てない。頼まれていないことを直さない。相手の必要を先読みしない。そして、相手と自分に何が起きるかを観察します。胸のあたりがざわざわするか。相手は気づくか。小さなことが誰かに片づけられるのか、それとも、そもそも片づけなくてよかったのか。これは罰でも、相手を試すことでもなく、実験です。よければ、事前に伝えておきましょう。「今日は少しのんびりしてみようと思って、予定を立てないでみる。何か決めてくれる?」。目的は、前払いをやめたら何が起きるかを知ることです。
よく尽くしてくれる恋人を持つ人へ
気前のいい人は、それを苦もなくやっているように見えるので、当たり前に思われやすいものです。役に立つことをいくつか挙げます。大きなことだけでなく、具体的に、こまめに「ありがとう」を伝える。「今週、何があると楽になる?」と、本気で聞く。助けや贈り物を温かく受け取り、そのうえで自分からも差し出して、流れを双方向にする。そして、相手が「疲れた」と言ったとき、それを責められたと受け取らない。それは、初めて口に出せた言葉かもしれません。不安を抱えやすい恋人を支える方法は、メンヘラへの接し方にもまとめています。
診断の位置づけと、もっと支えが必要なとき
メンヘラ診断は、15問の短い恋愛シーンに答えて、四つのタイプのひとつと三段階の度合いを知る、無料の自己理解のためのエンターテインメントです。医学的な診断ではありません。「尽くし込み」が出たなら、自分の愛し方の、やさしい言い換えとして受け取ってください。上の工夫は、守るべきルールではなく、試してみるものです。
関係の中で、疲れきっている、安全でない、希望が持てない、断ると怖くて何もできない、と感じるなら、誰かに話す価値があります。厚生労働省のまもろうよ こころには相談窓口の一覧があり、よりそいホットライン(0120-279-338)や#いのちSOS(0120-061-338)は、無料で24時間つながります。そして、もし相手から脅されたり、行動を支配されたりしているなら、もっと尽くすことは答えではありません。助けを求めることが答えです。